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2022年度診療報酬改定で下肢創傷処置と下肢創傷処置管理料が新設されました。
結果として多くの施設が下肢治療に参画して来ました。
血管を拡げて血流の改善さえすれば傷は治るだろうという安易な考えで重症下肢虚血の治療を始めた訳です。
今年2月の日本フットケア・足病学会でも以前に比して透析患者さんの難治性創傷に関する報告が増えていました。
いたずらに血管治療を繰り返し、創傷処置を続け、残念ながら救肢のタイミングを逃し、下肢切断に至る透析患者さんが非常に多いのです。

透析患者さんの重症下肢虚血の治療に必要な5項目です。
#1サイトカイン除去と産生を抑制する透析
#2治癒を促進させる適切な創面環境調整
#3低酸素状態とサイトカイン除去のための高気圧酸素治療
#4血管内皮の炎症を改善させるアフェレーシス
#5サイトカイン除去のための腎臓リハビリーテーション

我々のSWATに他なりません。
どれか一つが欠けても傷が治らない事をこの10年間発信し続けていますが、世の中は何も変わっていない事がよく分かりました。
虚血の原因となる病態を改善しなければ医療はいたちごっこになり最後に泣くのは患者さんです。
コロナ特需みたいな医療も、もうすぐ終わります。
人の道として正しい医療を、当院の救肢・創傷治療チームは続けています。

松井 傑

不要不急、Social Distance、この二つの単語が全く当てはまらないのが救肢治療でしょうか。Covid-19が医療を蹂躙する中、Covid-19院内感染、クラスターを発生させる事もなく、 救肢・創傷治療チームは活動を続けています。
創傷治療の中で培われた優れた感染管理能力がその背景にある事は間違いありません。

2021年4月から我がチームに膠原病専門医 向井正也先生が加わりました。
膠原病は下肢病変の原因として診断、治療が非常に難しい分野です。
治療に抵抗する病態が解明され、正に「鬼に金棒」と感じています。

2011年に下肢救済チームを立ち上げ、2014年に救肢・創傷治療センターを開設し、HSS-Line、SWATとこの十年間を駆け抜けて来ました。
一つの傷を治すと一つ引き出しが増える、そしてEvidenceをExperienceが賄い、創傷治療の方程式が出来上がっています。
救肢は難しい事ではなく当たり前の事の積み重ねなのです。
2022年の診療報酬改正で下肢創傷管理への評価が新設されました。
救肢・創傷治療への我々の想いが一つ結実しました。

武漢に始まった未曾有の感染症に医療連携は寸断され、崩壊に直面しました。
しかし、その中での戦いと経験は代え難い財産になっています。
次の十年もそれを生かしながら、当たり前の事を継続して行くつもりです。

松井 傑

2019年秋、日本下肢救済・足病学会と日本フットケア学会が合併し
日本フットケア・足病医学会として新たにスタートを切りました。

救肢と透析に関する講演を十数回行いましたが、循環器内科、血管外科、
形成外科、整形外科と専門が異なる先生からの御依頼でした。
「血管を守り、合併症を予防する透析=桑園中央病院の透析」の
必要性が診療科を超えて求められています。

医師、創傷認定看護師、創傷特定行為看護師、PT、義肢装具士と
専門職が揃う、道内唯一の救肢・創傷治療チームは
多くの救肢を達成すると共に、足病外来に多くの方に受診して頂き、
正しい情報発信を続けています。

救肢を達成し、元気にまた歩いて帰れるように、
桑園中央病院全スタッフの想いは救肢の疾風として進んでいます。

松井 傑

2018年7月14日 第10回日本下肢救済・足病学会学術集会における
東京大学 腎臓・内分泌内科教授 南岳正臣先生の特別講演で
SWATは「透析症例の心血管障害に対する有意義な治療法」として
紹介して頂きました。下肢救済のみならず心血管イベントへの戦略として
SWATのポテンシャルの高さが認証されました。
北大形成外科前田拓先生、草島英梨香先生にはSWAT症例を
英論文で御発表頂きました。小さな市中病院から世界への発信という
夢の第一歩が始まりました。

秋にはチームに創傷特定行為研修を修了した看護師が加わり
我が桑園中央病院の戦意は高揚し、意気軒昂たるものがあります。
まさに最後の砦として多くの症例の治療に当たっています。

2019年は亥年です。亥は足の神社として有名な京都の護王神社と
深い関わりがありイノシシ神社と称される程です。
「足腰の守護神」として和気清麻呂公が祀られています。
清麻呂公を救った三百頭の亥のように、北から吹き始めた静かな風は
疾風の勢いとなり力強く進んでいます。

松井 傑

2017年は桑園中央病院にとって節目の歳となりました。

一つは下肢救済・足病学会のみならずSWATをいくつかの全国規模の学会、研究会で認めていただき、中でもスーパー透析に高い評価を頂いた事です。
各科の指導的立場におられる先生に我々の透析の力を認めていただきました。
そしてカルシフィラキシス症例(注)を全て治癒させるという離れ業を成し遂げました。
病態を把握し、治療戦略を立案している事がその快挙につながったと思います。

もう一つは救肢の伝道のために始めたPodiatry Conference in 桑園です。
北海道大学形成外科 山本有平教授、神戸大学形成外科寺師浩人教授の両先生を中心とした救肢の勉強会で、札幌にいながら日本のトップから直接教わるという非常に贅沢な時間です。
まさに「百聞は一見にしかず」、北海道の救肢のポテンシャルは飛躍的に向上しています。

本年7月13日から第10回日本下肢救済・足病学会学術集会が札幌で開催されます。
SWATで一つのパネルディスカッションを開催する予定です。
チーム桑園中央病院には研鑽のため、そして鍛えられた経験を共有するため熱い血の仲間が加わり戦っています。

疾風の力は今鳴り始めました。
司馬遼太郎「坂の上の雲」の情景が浮かんできます。
「私は信じる 新たな時がめぐる。凛として旅立つ 一朶の雲を目指し」

(注)透析症例に発生する有痛性の難治性皮膚潰瘍を主症状とする疾患
時に致死的な経緯をたどる事もある
厚生労働省難治性疾患克服研究事業対象疾患

松井 傑

平成28年4月に新設された「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」は
救肢の概念を津々浦々に広めてくれました。
今さらの感はありますが、全国ほとんどの透析施設にフットケアチームができたと
言っても過言ではありません。まさに大きな扉が開いたのです。

救肢のサイエンス(下肢切断を予防する透析、そしてSWAT)を伝える為に
小生も三十数回の講演と企画を行う事ができました。
救肢の梁山泊に集った熱い仲間たちが又彼の地にその遺伝子を広げてくれ、
HSS-Lineには札幌のみならず、全道、全国からの重症例の紹介がきています。
チーム桑園中央病院は難治創傷に怯む事なく、眦を決し、研鑽を積んだ技術、
鍛えられた経験と共に戦っています。

日本下肢救済・足病学会は
平成22年9月に、北海道大学名誉教授大浦武彦先生を理事長に発足しました。
その地札幌から発信された救肢の疾風は、扉の向こうの道へと吹き始めました。
共に戦い救肢を達成、歩いて退院する患者さんの笑顔を目指し
HSS-LineとSWATは其の疾風と共に南へ歩み始めています。

松井 傑

4月の診療報酬改定で透析症例の下肢末梢動脈疾患重症化予防に厚生省は加算を認めてくれました。医療費削減が本邦の流れにある中で 我々の救肢作戦を、骨太の方針で高く評価してくれた事が背景にあります。 大きな扉が開き始めました。
今まで救肢に関心のなかった医師、医療従事者が足の診察を始める事は 大きな意義があり、下肢切断予防は大きな一歩を踏み出しました。
もう一つ良い報告があります。当院は日本透析医学会認定施設になりました。
これまで積み上げた技の研鑽、下肢救済チーム誕生、HSS-Line、そしてSWATと 桑園中央病院の総合力が北海道ベスト16として評価された結果です。

なぜ桑園中央病院の患者さんは下肢切断がないのか?
なぜ今まで治癒しなかった創傷が桑園中央病院では治癒するのか?
これからはその救肢のサイエンスの伝道が当院の務めになるのでしょうか。
今、救肢の梁山泊に熱い仲間がやってきています。
研鑽を積んだその遺伝子が広がり、芽吹き始めました。 扉の向こうに道が見えてきました。

松井 傑

透析症例の下肢切断後の生存率は諸家の報告がありますが,糖尿病症例では1年生存率50%、非糖尿病症例でも70%と極めて低いのが事実です。下肢切断に至る症例はその後も末梢動脈疾患(PAD)が進行し加えて1年以内の心血管イベントが多い事がその原因とされ、下肢切断を回避する事が救肢のみならず救命の鍵と言っても過言ではありません。
2011年11月北海道大学医学部形成外科 山本有平教授の指導の下に発足した当院下肢救済チームは、市立札幌病院と救肢連携「HSS-line」を構築、救肢の戦いを続けています。幸いにもHSS-Lineに於いて未だ下肢切断症例はありません。その背景には当院の治療戦略 5(Penta)-SWATの存在があります。SWATは 米国警察に設置されている特殊部隊(Special Weapons And Tactics)の略称として有名ですが、桑園中央病院では戦略的高度創傷管理術 (Strategical Woundcare and Advanced Technique)と位置付けられています。

5つのSWATとは
#1 Hemodialysis with high qualitty (スーパーHD)
#2 Hyperbaric oxygen therapy  HBO (高気圧酸素療法)
#3 LDL-A(LDLアフェレーシス)
#4 Maggot therapy(マゴット治療)
#5 Rehabilitations for patients on dialysis(腎臓リハビリーテーション) です。
Penta- SWATは日本下肢救済・足病学会でも高く評価され、事実、もはや血行再建術もHBOも施行できない状況から救肢に導いた症例も少なくありません。 正に救肢特殊部隊の真骨頂です。扉は開かれ、救肢の梁山泊へ熱い思いを持った仲間が増えています。 戦いは続きます。

松井 傑

匠の技

当院の救肢に強い味方が加わりました。
第一種高気圧酸素治療装置です。
外科的治療の限界、全身状態からの保存的治療を選択せざるを得ない症例、創傷治療には血流状態が不十分な症例の治療にその力を発揮しています。
また強い感染を伴った創にも有効です。
血液浄化、透析に特化している病院でこの装置を稼動させているのは当院だけです。今まで、あきらめるしか無かった創が治療を始めました。
第58回日本透析学会総会シンポジウムで発表致しましたが、全国の施設より驚きと応援の言葉を頂きました。
あきらめない『チーム桑園中央病院』が最終兵器を手にした感があります。
至適透析を目指す血液浄化部、創傷治療の匠・形成外科と各科に医師、そして高気圧酸素治療、まさに三位一体で救肢に扉を開きました。
今年も技の研鑽につとめチーム一丸となって戦っていきます。

松井 傑

2012年も重症合併症との戦いでした。
その背景にあるのは、脳血管障害、虚血性心疾患、消化管虚血、そして重症下肢虚血という全身の動脈硬化による血流障害でした。
全身の血管はつながっていて、何処か一ヵ所だけが硬化するのではありません。

我々は各科合併症予防に下肢血流の評価が重要である事、
つまり救肢は全身血管の救済、生命予後改善へ通じる道であると日本透析日本透析医学会で発表致しました。

当院で透析導入し、当院で維持透析を継続している症例には下肢切断は今までありません。
#1適切な下肢血流評価、#2十分な透析量の確保
#3しっかりとした水分管理、#4腎臓リハビリテーション、
この4枚の救肢の扉を共に開く仲間が増えてくれれば良いと考えています。
更に昨年6月に救肢に最終兵器ともいえる第一種高気圧酸素治療装置を導入しました。
『良い透析をしていれば下肢切断は無い』そう信じて戦っています。

松井 傑

2011年 当院はあきらめない透析、至適透析の追及、そして全ての血液浄化法を駆使し、多くの症例を救命する事ができました。
循環器内科、内分泌内科、消化器外科、泌尿器科、麻酔科、形成外科、各科に医師による集学的かつ迅速な診断と治療方針の決定、そして血液浄化部、手術部、画像診断部、臨床検査部、薬剤部がそれを遂行するという「チーム桑園中央病院」に力が存分に発揮された一年でした。
昨年後半よりチームに形成外科が加わりました。
透析合併症である閉塞性動脈硬化症による四肢壊死との戦いの為です。
壊死に為に四肢大切断に至った場合その後の生命予後は良いものではなく、特に糖尿病症例は一年生存率が50%程度と極めて不良です。
何とか救肢をしたい、その思いがまた仲間を増やす事が出来ました。
昨年は一日平均75症例の透析治療が行われました。
透析導入間もない症例から30年選手まで148名の命を守っています。
正しい透析を行っている限り大切断は絶対に予防できると信じています。
今年も技の研鑽につとめチーム一丸となって戦ってまいります。

松井 傑

2010年当院はあきらめない透析に挑戦しました。
全ての血液浄化法を駆使し多くの症例に救命、救肢を行い事ができました。循環器内科、内分泌内科、消化器外科、泌尿器科、麻酔科、各科の医師による集学的かつ迅速な診断と治療方針の決定、そして血液浄化部、手術部、画像診断部、臨床検査部、薬剤部、リハビリテーションブがそれを遂行、バックアップするという「チーム桑園中央病院」の力が遺憾なく発揮された結果と考えております。

当院では一日平均68症例の透析治療が行われています。
透析治療は同じ器機、機材をつかえば同じ結果になるという治療法ではありません。年間約21000症例の透析に同じ透析が無いのです。良い透析を行う為にはデータ、情報を的確に判断し透析条件をきめます。瞬時の判断が必要とされる事も多く、マニュアルで対応できるような簡単な作業ではありません。
惑星探査機「はやぶさ」の生還に日本の職人技「匠」が存在したように血液浄化にもやはり日本の匠に通じる熟練技があると思っています。技に研鑽につとめ最高のチーム医療を継続し戦ってまいります。

松井 傑

2009年、当院は皆様に世界最高レベルの透析治療や提供するために挑戦し続けて参りました。透析患者の皆様の足痛変予防と早期治療、重症合併症への透析治療、腎臓リハビリテーションの他院の先駆けての開始などであります。医療のみでなく、患者の皆様の快適さも考え、院内テレビの地上波デジタル放送対応への切り替え、館内にアロマセラピーをはじめ、皆様が過ごしやすい空間を考えて参りました。なにより外装を大きく模様替えいたしました。

これまでの経験と実績が認められ、2010年度からは新たに日本透析医学会教育関連施設としての機能を果たすことになりました。地域に根ざした皆様の病院であると同時にレベルに高い医療をスタッフ一同で提供できるというのは私としても大変誇りに思っております。

透析症例の合併症治療というのは早期に諦めるのが実績ですが、当院では患者の皆様、ご家族とともに諦めることなく戦っております。これからも地域に根ざして、医師、看護師、コメディカルの垣根を超えた最高のチーム医療を目指すとともに、将来の透析治療の人材育成にも関わっていきたいと思っています。

松井 傑

2008年、桑園中央病院は地域への還元を目標に、患者様の皆様への最良の医療の提供を努めると共に、地域の中核病院との連携を深め、互いに治療の質を高めて参りました。

2009年の目標としては「世界最高の医療に提供」を据えます。これまでの通念からすれば、本院のような病院が世界へ発信することは考えられないことでありました。しかい、グローバル化した現在においては決して不可能なものではありません。事実、桑園中央病院は2002年のDOPPS調査においては世界一きれいな透析液という高い評価を受けたり、道内を観光される諸外国の皆様にも旅行透析先として頻回に選ばれております。

国際社会は金融危機により先行きの見えない不安とそれから生じた閉塞感につつまれております。こうした中でも、我が国の町工場が持つ高い技術は世界を驚かせ、新たな可能性を作り出しています。我々、桑園中央病院の職員一同もこうした職人方に習い、世界最高レベルの治療成績と世界一、患者様と御家族にあったQOL(生活の質)の向上に寄与できればと思っております。

松井 傑

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2022年度診療報酬改定で下肢創傷処置と下肢創傷処置管理料が新設されました。
結果として多くの施設が下肢治療に参画して来ました。
血管を拡げて血流の改善さえすれば傷は治るだろうという安易な考えで重症下肢虚血の治療を始めた訳です。
今年2月の日本フットケア・足病学会でも以前に比して透析患者さんの難治性創傷に関する報告が増えていました。
いたずらに血管治療を繰り返し、創傷処置を続け、残念ながら救肢のタイミングを逃し、下肢切断に至る透析患者さんが非常に多いのです。


透析患者さんの重症下肢虚血の治療に必要な5項目です。
#1サイトカイン除去と産生を抑制する透析
#2治癒を促進させる適切な創面環境調整
#3低酸素状態とサイトカイン除去のための高気圧酸素治療
#4血管内皮の炎症を改善させるアフェレーシス
#5サイトカイン除去のための腎臓リハビリーテーション


我々のSWATに他なりません。
どれか一つが欠けても傷が治らない事をこの10年間発信し続けていますが、世の中は何も変わっていない事がよく分かりました。
虚血の原因となる病態を改善しなければ医療はいたちごっこになり最後に泣くのは患者さんです。
コロナ特需みたいな医療も、もうすぐ終わります。
人の道として正しい医療を、当院の救肢・創傷治療チームは続けています。


松井 傑

不要不急、Social Distance、この二つの単語が全く当てはまらないのが救肢治療でしょうか。Covid-19が医療を蹂躙する中、Covid-19院内感染、クラスターを発生させる事もなく、 救肢・創傷治療チームは活動を続けています。
創傷治療の中で培われた優れた感染管理能力がその背景にある事は間違いありません。


2021年4月から我がチームに膠原病専門医 向井正也先生が加わりました。
膠原病は下肢病変の原因として診断、治療が非常に難しい分野です。
治療に抵抗する病態が解明され、正に「鬼に金棒」と感じています。


2011年に下肢救済チームを立ち上げ、2014年に救肢・創傷治療センターを開設し、HSS-Line、SWATとこの十年間を駆け抜けて来ました。
一つの傷を治すと一つ引き出しが増える、そしてEvidenceをExperienceが賄い、創傷治療の方程式が出来上がっています。
救肢は難しい事ではなく当たり前の事の積み重ねなのです。
2022年の診療報酬改正で下肢創傷管理への評価が新設されました。
救肢・創傷治療への我々の想いが一つ結実しました。


武漢に始まった未曾有の感染症に医療連携は寸断され、崩壊に直面しました。
しかし、その中での戦いと経験は代え難い財産になっています。
次の十年もそれを生かしながら、当たり前の事を継続して行くつもりです。


松井 傑

2019年秋、日本下肢救済・足病学会と日本フットケア学会が合併し日本フットケア・足病医学会として新たにスタートを切りました。


救肢と透析に関する講演を十数回行いましたが、循環器内科、血管外科、形成外科、整形外科と専門が異なる先生からの御依頼でした。
「血管を守り、合併症を予防する透析=桑園中央病院の透析」の必要性が診療科を超えて求められています。


医師、創傷認定看護師、創傷特定行為看護師、PT、義肢装具士と専門職が揃う、道内唯一の救肢・創傷治療チームは多くの救肢を達成すると共に、足病外来に多くの方に受診して頂き、正しい情報発信を続けています。


救肢を達成し、元気にまた歩いて帰れるように、桑園中央病院全スタッフの想いは救肢の疾風として進んでいます。

松井 傑

2018年7月14日 第10回日本下肢救済・足病学会学術集会における 東京大学 腎臓・内分泌内科教授 南岳正臣先生の特別講演で SWATは「透析症例の心血管障害に対する有意義な治療法」として 紹介して頂きました。下肢救済のみならず心血管イベントへの戦略として SWATのポテンシャルの高さが認証されました。
北大形成外科前田拓先生、草島英梨香先生にはSWAT症例を英論文で御発表頂きました。小さな市中病院から世界への発信という 夢の第一歩が始まりました。

秋にはチームに創傷特定行為研修を修了した看護師が加わり
我が桑園中央病院の戦意は高揚し、意気軒昂たるものがあります。
まさに最後の砦として多くの症例の治療に当たっています。

2019年は亥年です。亥は足の神社として有名な京都の護王神社と深い関わりがありイノシシ神社と称される程です。
「足腰の守護神」として和気清麻呂公が祀られています。
清麻呂公を救った三百頭の亥のように、北から吹き始めた静かな風は 疾風の勢いとなり力強く進んでいます。

松井 傑

2017年は桑園中央病院にとって節目の歳となりました。

一つは下肢救済・足病学会のみならずSWATをいくつかの全国規模の学会、研究会で認めていただき、中でもスーパー透析に高い評価を頂いた事です。
各科の指導的立場におられる先生に我々の透析の力を認めていただきました。
そしてカルシフィラキシス症例(注)を全て治癒させるという離れ業を成し遂げました。
病態を把握し、治療戦略を立案している事がその快挙につながったと思います。

もう一つは救肢の伝道のために始めたPodiatry Conference in 桑園です。
北海道大学形成外科 山本有平教授、神戸大学形成外科寺師浩人教授の両先生を中心とした救肢の勉強会で、札幌にいながら日本のトップから直接教わるという非常に贅沢な時間です。
まさに「百聞は一見にしかず」、北海道の救肢のポテンシャルは飛躍的に向上しています。

本年7月13日から第10回日本下肢救済・足病学会学術集会が札幌で開催されます。
SWATで一つのパネルディスカッションを開催する予定です。
チーム桑園中央病院には研鑽のため、そして鍛えられた経験を共有するため熱い血の仲間が加わり戦っています。

疾風の力は今鳴り始めました。
司馬遼太郎「坂の上の雲」の情景が浮かんできます。
「私は信じる 新たな時がめぐる。凛として旅立つ 一朶の雲を目指し」

(注)透析症例に発生する有痛性の難治性皮膚潰瘍を主症状とする疾患
時に致死的な経緯をたどる事もある
厚生労働省難治性疾患克服研究事業対象疾患

松井 傑

平成28年4月に新設された「下肢末梢動脈疾患指導管理加算」は救肢の概念を津々浦々に広めてくれました。
今さらの感はありますが、全国ほとんどの透析施設にフットケアチームができたと言っても過言ではありません。まさに大きな扉が開いたのです。

救肢のサイエンス(下肢切断を予防する透析、そしてSWAT)を伝える為に小生も三十数回の講演と企画を行う事ができました。
救肢の梁山泊に集った熱い仲間たちが又彼の地にその遺伝子を広げてくれ、HSS-Lineには札幌のみならず、全道、全国からの重症例の紹介がきています。
チーム桑園中央病院は難治創傷に怯む事なく、眦を決し、研鑽を積んだ技術、 鍛えられた経験と共に戦っています。

日本下肢救済・足病学会は平成22年9月に、北海道大学名誉教授大浦武彦先生を理事長に発足しました。
その地札幌から発信された救肢の疾風は、扉の向こうの道へと吹き始めました。
共に戦い救肢を達成、歩いて退院する患者さんの笑顔を目指しHSS-LineとSWATは其の疾風と共に南へ歩み始めています。

松井 傑

4月の診療報酬改定で透析症例の下肢末梢動脈疾患重症化予防に
厚生省は加算を認めてくれました。医療費削減が本邦の流れにある中で 我々の救肢作戦を、骨太の方針で高く評価してくれた事が背景にあります。 大きな扉が開き始めました。
今まで救肢に関心のなかった医師、医療従事者が足の診察を始める事は 大きな意義があり、下肢切断予防は大きな一歩を踏み出しました。
もう一つ良い報告があります。当院は日本透析医学会認定施設になりました。 これまで積み上げた技の研鑽、下肢救済チーム誕生、HSS-Line、そしてSWATと 桑園中央病院の総合力が北海道ベスト16として評価された結果です。

なぜ桑園中央病院の患者さんは下肢切断がないのか?
なぜ今まで治癒しなかった創傷が桑園中央病院では治癒するのか?
これからはその救肢のサイエンスの伝道が当院の務めになるのでしょうか。
今、救肢の梁山泊に熱い仲間がやってきています。 研鑽を積んだその遺伝子が広がり、芽吹き始めました。
扉の向こうに道が見えてきました。

松井 傑

透析症例の下肢切断後の生存率は諸家の報告がありますが,糖尿病症例では1年生存率50%、非糖尿病症例でも70%と極めて低いのが事実です。下肢切断に至る症例はその後も末梢動脈疾患(PAD)が進行し加えて1年以内の心血管イベントが多い事がその原因とされ、下肢切断を回避する事が救肢のみならず救命の鍵と言っても過言ではありません。
2011年11月北海道大学医学部形成外科 山本有平教授の指導の下に発足した当院下肢救済チームは、市立札幌病院と救肢連携「HSS-line」を構築、救肢の戦いを続けています。幸いにもHSS-Lineに於いて未だ下肢切断症例はありません。その背景には当院の治療戦略 5(Penta)-SWATの存在があります。SWATは 米国警察に設置されている特殊部隊(Special Weapons And Tactics)の略称として有名ですが、桑園中央病院では戦略的高度創傷管理術 (Strategical Woundcare and Advanced Technique)と位置付けられています。

5つのSWATとは
#1 Hemodialysis with high qualitty (スーパーHD)
#2 Hyperbaric oxygen therapy  HBO (高気圧酸素療法)
#3 LDL-A(LDLアフェレーシス)
#4 Maggot therapy(マゴット治療)
#5 Rehabilitations for patients on dialysis(腎臓リハビリーテーション) です。
Penta- SWATは日本下肢救済・足病学会でも高く評価され、事実、もはや血行再建術もHBOも施行できない状況から救肢に導いた症例も少なくありません。 正に救肢特殊部隊の真骨頂です。扉は開かれ、救肢の梁山泊へ熱い思いを持った仲間が増えています。 戦いは続きます。

松井 傑

匠の技

当院の救肢に強い味方が加わりました。
第一種高気圧酸素治療装置です。
外科的治療の限界、全身状態からの保存的治療を選択せざるを得ない症例、創傷治療には血流状態が不十分な症例の治療にその力を発揮しています。
また強い感染を伴った創にも有効です。
血液浄化、透析に特化している病院でこの装置を稼動させているのは当院だけです。今まで、あきらめるしか無かった創が治療を始めました。
第58回日本透析学会総会シンポジウムで発表致しましたが、全国の施設より驚きと応援の言葉を頂きました。
あきらめない『チーム桑園中央病院』が最終兵器を手にした感があります。
至適透析を目指す血液浄化部、創傷治療の匠・形成外科と各科に医師、そして高気圧酸素治療、まさに三位一体で救肢に扉を開きました。
今年も技の研鑽につとめチーム一丸となって戦っていきます。

松井 傑

2012年も重症合併症との戦いでした。
その背景にあるのは、脳血管障害、虚血性心疾患、消化管虚血、そして重症下肢虚血という全身の動脈硬化による血流障害でした。
全身の血管はつながっていて、何処か一ヵ所だけが硬化するのではありません。

我々は各科合併症予防に下肢血流の評価が重要である事、
つまり救肢は全身血管の救済、生命予後改善へ通じる道であると日本透析日本透析医学会で発表致しました。

当院で透析導入し、当院で維持透析を継続している症例には下肢切断は今までありません。
#1適切な下肢血流評価、#2十分な透析量の確保
#3しっかりとした水分管理、#4腎臓リハビリテーション、
この4枚の救肢の扉を共に開く仲間が増えてくれれば良いと考えています。
更に昨年6月に救肢に最終兵器ともいえる第一種高気圧酸素治療装置を導入しました。
『良い透析をしていれば下肢切断は無い』そう信じて戦っています。

松井 傑

2011年 当院はあきらめない透析、至適透析の追及、そして全ての血液浄化法を駆使し、多くの症例を救命する事ができました。
循環器内科、内分泌内科、消化器外科、泌尿器科、麻酔科、形成外科、各科に医師による集学的かつ迅速な診断と治療方針の決定、そして血液浄化部、手術部、画像診断部、臨床検査部、薬剤部がそれを遂行するという「チーム桑園中央病院」に力が存分に発揮された一年でした。
昨年後半よりチームに形成外科が加わりました。
透析合併症である閉塞性動脈硬化症による四肢壊死との戦いの為です。
壊死に為に四肢大切断に至った場合その後の生命予後は良いものではなく、特に糖尿病症例は一年生存率が50%程度と極めて不良です。
何とか救肢をしたい、その思いがまた仲間を増やす事が出来ました。
昨年は一日平均75症例の透析治療が行われました。
透析導入間もない症例から30年選手まで148名の命を守っています。
正しい透析を行っている限り大切断は絶対に予防できると信じています。
今年も技の研鑽につとめチーム一丸となって戦ってまいります。

松井 傑

2010年当院はあきらめない透析に挑戦しました。
全ての血液浄化法を駆使し多くの症例に救命、救肢を行い事ができました。循環器内科、内分泌内科、消化器外科、泌尿器科、麻酔科、各科の医師による集学的かつ迅速な診断と治療方針の決定、そして血液浄化部、手術部、画像診断部、臨床検査部、薬剤部、リハビリテーションブがそれを遂行、バックアップするという「チーム桑園中央病院」の力が遺憾なく発揮された結果と考えております。

当院では一日平均68症例の透析治療が行われています。
透析治療は同じ器機、機材をつかえば同じ結果になるという治療法ではありません。年間約21000症例の透析に同じ透析が無いのです。良い透析を行う為にはデータ、情報を的確に判断し透析条件をきめます。瞬時の判断が必要とされる事も多く、マニュアルで対応できるような簡単な作業ではありません。
惑星探査機「はやぶさ」の生還に日本の職人技「匠」が存在したように血液浄化にもやはり日本の匠に通じる熟練技があると思っています。技に研鑽につとめ最高のチーム医療を継続し戦ってまいります。

松井 傑

2009年、当院は皆様に世界最高レベルの透析治療や提供するために挑戦し続けて参りました。透析患者の皆様の足痛変予防と早期治療、重症合併症への透析治療、腎臓リハビリテーションの他院の先駆けての開始などであります。医療のみでなく、患者の皆様の快適さも考え、院内テレビの地上波デジタル放送対応への切り替え、館内にアロマセラピーをはじめ、皆様が過ごしやすい空間を考えて参りました。なにより外装を大きく模様替えいたしました。

これまでの経験と実績が認められ、2010年度からは新たに日本透析医学会教育関連施設としての機能を果たすことになりました。地域に根ざした皆様の病院であると同時にレベルに高い医療をスタッフ一同で提供できるというのは私としても大変誇りに思っております。

透析症例の合併症治療というのは早期に諦めるのが実績ですが、当院では患者の皆様、ご家族とともに諦めることなく戦っております。これからも地域に根ざして、医師、看護師、コメディカルの垣根を超えた最高のチーム医療を目指すとともに、将来の透析治療の人材育成にも関わっていきたいと思っています。

松井 傑

2008年、桑園中央病院は地域への還元を目標に、患者様の皆様への最良の医療の提供を努めると共に、地域の中核病院との連携を深め、互いに治療の質を高めて参りました。

2009年の目標としては「世界最高の医療に提供」を据えます。これまでの通念からすれば、本院のような病院が世界へ発信することは考えられないことでありました。しかい、グローバル化した現在においては決して不可能なものではありません。事実、桑園中央病院は2002年のDOPPS調査においては世界一きれいな透析液という高い評価を受けたり、道内を観光される諸外国の皆様にも旅行透析先として頻回に選ばれております。

国際社会は金融危機により先行きの見えない不安とそれから生じた閉塞感につつまれております。こうした中でも、我が国の町工場が持つ高い技術は世界を驚かせ、新たな可能性を作り出しています。我々、桑園中央病院の職員一同もこうした職人方に習い、世界最高レベルの治療成績と世界一、患者様と御家族にあったQOL(生活の質)の向上に寄与できればと思っております。

松井 傑